「別にやめることないのに…」
若手社員から転職相談を受けるたびに、そう思う瞬間があります。
彼らは「そろそろ転職かなと思うんです」と言うのですが、よくよく聞くと、今の企業に不満はないと言っていいくらい満足しているのです。
しかも、結構な大手企業に勤めていて年収も悪くなく、福利厚生も充実しています。
ただ、漠然とキャリアのことが気になり、転職しなければと思っています。
別に社内の異動でも十分じゃないかと思うのですが。
36歳の私の立場からすると「あぁ、今年もこの光景が展開されるのか」と、微笑ましくも複雑な心境になってしまいます。
ふと「27歳症候群」という言葉を思い出しました。
主に女性をターゲットとした転職情報誌『とらばーゆ』の編集部にいた頃に聞いた言葉です。
当時の読者によくいるタイプでした。27歳は大卒で5年目、短大・専門卒だと7年目くらいになります。
一応、20代ですが、「若手」でもなくなってきます。
でも、「ベテラン」ではありません。
仕事にはすっかり慣れているのですが、この先に対してぼんやりとした不安を抱えてしまいます。
もっとスキルを磨きたいとも考えます。
今の彼氏と結婚していいのかということも気になるポイントです。
そして、転職するか、留学や専門学校通いをする、結婚し子供を産むなどにより人生をリセットしようとするのです。
約9年前に聞いた話ですが、基本的にこの傾向は変わっていませんし、女性に限らず男性でも同じ傾向が見られるなと感じます。
まぁ、約9年前よりも結婚のハードルは現在の方が上がっているなとは感じますが。
20代半ば~後半は「転職モテ期」でもあります。
まだ、未経験の職種でも対応可能ではありますし、組織風土とも自分を合わせやすいと言えます。
「不景気」などが伝えられていますが、求人も回復しつつあります。
そして、人材紹介会社や転職情報サイトなど「キャリアアップ」をうたい、煽る方々もいます(それが仕事なので否定はしませんが)。
かくして「そろそろ転職しなくちゃ症候群」が加速するのです。
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